その「疲れ」、実は噛みしめが原因かも?

知らないうちに歯に力をかけていませんか?

「最近、なんだか顎が疲れる」
「朝起きると、奥歯が痛いような気がする」
「肩や首が凝っている」
「気がつくと歯をギュッと噛みしめている」

そんな経験はありませんか?

歯ぎしりというと、「寝ている間にギリギリと音を立てて歯をこするもの」というイメージが強いかもしれません。

ところが、実は歯に負担をかけているのは、睡眠中の歯ぎしりだけではありません。

仕事や家事、パソコン作業、スマートフォンを見ているときなど、起きている間にも無意識に歯を食いしばっていることがあります。

これを「覚醒時ブラキシズム(awake bruxism)」と呼びます。

「歯ぎしりをしている=病気」ではありません

ただし、強い力が長期間繰り返されれば、歯や顎に負担がかかり、歯が割れたり、かぶせ物が欠けたり外れたりする可能性があります。

今回は、そんな「知らないうちの噛みしめ」について調べてみました。


そもそも、普段は歯と歯が接触している?

ここで、ちょっと自分の口元を確認してみてください。

今、歯と歯が接触していませんか?

もし接触していたら、唇は軽く閉じたまま上下の歯を離してみましょう。

実は、リラックスしているときには、上下の歯は基本的に接触していない状態が自然です。

食事をするときや飲み込むときには歯が接触しますが、それ以外の時間までずっと歯を接触させておく必要はありません。

ところが、集中しているときや緊張しているときなどに、無意識に歯を接触させてしまう人がいます。

パソコンの画面を見ながら、

「そういえば、ずっと歯を噛みしめていた……」

ということもあるかもしれません。


「歯ぎしり」だけがブラキシズムではありません

ブラキシズムというと、歯をギリギリこする「歯ぎしり」を思い浮かべます。

しかし、研究上はもう少し広い意味で使われています。

例えば、

  • 歯をギュッと噛みしめる
  • 上下の歯を接触させ続ける
  • 顎に力を入れる
  • 歯をこすり合わせる

なども含まれます。

つまり、音のしない「噛みしめ」もブラキシズムの一種なのです。

そのため、「家族から歯ぎしりを指摘されたことがないから、自分は大丈夫」とは限りません。

特に日中の噛みしめは、本人が気づいていないこともあります。


あなたは大丈夫?「噛みしめチェック」

ここからは簡単なセルフチェックです。

次の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。

□ 気がつくと歯を食いしばっている

□ パソコンやスマートフォンを使っているとき、歯が接触している

□ 集中すると顎に力が入る

□ 朝起きたとき、顎が疲れている

□ 頬の内側を噛んだ跡がある

□ 舌の側面に歯の跡がついている

□ 奥歯がすり減っているような気がする

□ 詰め物や被せ物が外れたり、壊れたりすることがある

□ 顎を開けるときに痛みや違和感がある

□ 口を開けるときに音がする

一つ当てはまったからといって、「噛みしめが原因だ」と決めつけることはできません。

しかし、いくつも思い当たることがあるなら、一度ご自身の「歯に力をかける習慣」を意識してみてもよいかもしれません。


噛みしめると、歯にはどんな負担がかかる?

歯は食事をするために、とても強い力に耐えられるようにできています。

しかし、それはあくまでも「必要なときに噛む」ためのもの。

長時間、何度も強い力が加われば、歯や歯を支える組織、顎の筋肉などに負担がかかります。

例えば、

  • 歯がすり減る
  • 歯にヒビが入る
  • 詰め物や被せ物に負担がかかる
  • 顎の筋肉が疲れる
  • 顎関節に負担がかかる

などが考えられます。


今日からできる「噛みしめ対策」

では、どうすればいいのでしょうか。

まずおすすめしたいのが、「歯を離すことを思い出す」ことです。

「噛みしめないようにしよう!」と一日中意識するのは大変です。

そこで、

  • パソコンの端
  • スマートフォン
  • テレビのリモコン
  • 洗面所の鏡

など、普段よく見る場所に「歯を離す」とメモを貼ってみましょう。

目に入ったら、

「唇は軽く閉じる。歯は離す。顎の力を抜く。」

と意識します。

これを何度も繰り返していると、自分がどんな場面で噛みしめているのかにも気づきやすくなります。


「力を抜く」練習をしてみましょう

もう一つ簡単なのが、顎の力を抜く練習です。

  1. 肩をストンと落とす
  2. 唇を軽く閉じる
  3. 上下の歯を離す
  4. 舌は無理に力を入れず、自然な位置に置く
  5. ゆっくり息を吐く

これだけです。

「何か特別な運動をしなければ」と思う必要はありません。

信号待ちや電車の中、パソコン作業の休憩中など、ちょっとした時間に行ってみましょう。


こんな症状があるなら、一度歯科医院へ

セルフケアだけで様子を見てよい場合もありますが、

  • 歯が欠けた
  • 歯にヒビがある
  • 奥歯が痛む
  • 朝起きると顎が痛い
  • 口が開けにくい
  • 顎を動かすと痛みがある
  • 歯が強くすり減っている
  • 詰め物や被せ物が頻繁に壊れる

といった症状がある場合は、一度歯科医院で相談してみましょう。

必要に応じて、歯の状態や噛み合わせ、顎の状態などを確認します。

場合によっては、歯を保護する目的でマウスピース(ナイトガード)を使用することもあります。

マウスピースによってブラキシズムを改善させる効果は確認できませんが、マウスピースによって、歯ぎしりによる歯へのダメージをコントロールすることが可能である、という研究結果があります。

当院でも作成できますので、お気軽にご相談ください。


「歯に力をかけない」という新しい健康習慣

歯を守るために、「毎日しっかり歯を磨く」というのはもちろん大切です。

でも、それだけではありません。

「普段、自分の歯にどれくらい力をかけているか?」

という視点も持ってみてください。

仕事中、運転中、料理中、スマートフォンを見ているとき。

気づかないうちに歯を噛みしめている瞬間があるかもしれません。

今日からできることは、とてもシンプルです。

気づく。
歯を離す。
顎の力を抜く。

まずはこの3つを意識してみてはいかがでしょうか。

歯は、食事をするときに大きな力を受け止めています。

だからこそ、食事をしていない時間まで頑張らせる必要はありません。

毎日何気なく使っている歯だからこそ、「頑張らせすぎない」というケアも大切にしていきましょう。

参考文献:National Institute of Dental and Craniofacial Research(NIDCR)「Bruxism」 

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